適切な鼻腔麻酔が鼻痛のない経鼻内視鏡の大前提
スティック法がベストな鼻腔麻酔法
鼻痛のない経鼻内視鏡を実現するためには、最善の鼻腔麻酔を行うことが前提となります。鼻腔麻酔が不十分では、どんなに優れた内視鏡医のスコープ操作でも鼻痛を誘発してしまいます。
鼻腔麻酔法には「スティック法」と「スプレー法」の2つがありますが、鼻痛を誘発しないためには「スティック法」による鼻腔麻酔が必須です。しかし、“誤ったスティック法”を行っている施設が少なからず存在します。スティック法の最大のポイントは高濃度麻酔薬(8%リドカイン)を使用すること、スティック挿入前に刺激の比較的すくない低濃度麻酔ビスカス(2%リドカイン)で予備麻酔を行うことの2点です。
本サイトが推奨する「DPスティックを用いた2分間鼻腔麻酔法」について解説します。
中濃度麻酔薬(4%)を外鼻孔からスプレーする方法
外鼻孔から4%リドカイン液をスプレーする方法です。スプレー法の手技は簡単ですが、麻酔液が鼻腔狭窄部に十分に届かないため検査中の鼻痛の抑制効果は十分ではありません。
1)低濃度麻酔薬(2%)のみを使う“誤ったスティック法”
スティック法を正しく理解していない施設で行われている方法です。低濃度麻酔薬(2%リドカインビスカス)のみを使用してスティック法を行います。また、先端開孔スティックからビスカスを注入しながらスティックを挿入する方法もみうけられます。いずれも鼻腔麻酔効果は低く鼻痛をしばしば誘発します。
2)注入法
2%リドカインビスカスを外鼻孔から注入する方法です。この方法は経鼻内視鏡の黎明期に行われ鼻痛を高頻度に誘発しました。この経験から現在のスティック法が考案され鼻痛がコントロール可能になりました。注入法はもっとも不適切な鼻腔麻酔法です。